東京都知事選において、候補者はそれぞれ、待機児童問題の解決を掲げています。都知事が誰になろうと、東京都の「待機児童数日本一」という問題は解決しなくてはなりません。そして都の役割は重要です。新都知事がやるべき政策を提言したいと思います。現在、都内で保育所を作りにくくしている最大の障壁は保育士不足です。通年での有効求人倍率は6倍、昨年11月だけで見ると66倍にもなります。

 しかし、保育士資格を持つ人がいないわけではありません。全国の保育所で働く保育士35万人に対し、保育所で働いていない保育士はその倍の70万人。重労働にもかかわらず低賃金なので、資格を持っていても働けないのです。

 東京都は舛添要一知事時代に、国の補助に上乗せして保育士給与を補助する「キャリアアップ補助」を創設。舛添都政が子育て分野に残した数少ない実績の一つでしたが、いかんせん額が不十分でした。 これを大幅に拡張することで、保育士の処遇が引き上げられ、保育士不足問題を解決することができると考えています。

 また、市部では認可保育所を作る場所は限られていますが、そこは、税制である程度解決できると考えられています。アパートを壊し、地域のため、保育所にしたいと思った土地オーナーがいるとします。アパートのままにしておけば固定資産税は6分の1に減免されますが、保育所ではそれはなくなります。

 保育所を建てる場合も、アパート並みの減免措置をとることで、オーナーが保育所に土地を貸し出すインセンティブになります。固定資産税の決定権は都にあるので、東京都は減免制度を作ることができるのです。特に、70ある都立公園は、どれも敷地が1haを超えているので活用が考えられます。

 杉並区が区立公園の一部を使って保育所を作ろうとしたところ、付近の住民に強い反対にあいました。このケースでは、公園面積の4割を利用するため、事実上、公園が使えなくなるのを住民が危惧するものでしたが、たとえば世田谷区の砧公園は約39万㎡あり、100坪の認可保育所を作っても、その0.1%程度を占有するに過ぎません。

 東京都は容積率規制が厳しい地域です。経営コンサルタントの大前研一氏によると、東京23区内で平均1.3階建て、山手線内に限っても平均2.3階建ての高さに過ぎません。海外と比べると、パリ市の都心部は平均6階建て、ニューヨークの住宅街でも6階程度です。つまり、都内の容積率基準をパリ・ニューヨーク並みに緩和、活用するだけで、今の数倍の土地を手にすることが事実上可能になります。

 そこに「保育所を設置したら容積率緩和」という条件を付与することにより、容積率というインセンティブを追うデベロッパーは、保育所建設に動機付けられます。新規に建てられる商業ビルやマンションのほぼ全てに保育所が併設されることになっていくのです。まさに成長とセーフティーネットの双方を実現できる策になるでしょう。

 新都知事がしっかりとした待機児童政策を行い、待機児童日本一の恥ずべき状況から脱却してくれることを心から願います